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おしらせ

新刊情報 「プラトンとプランクトン5号(最終号)特集 親密さのかたち」

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文芸同人「プラトンとプランクトン」、このまえの文学フリマで最終号となりましたが、通販で発売中です!

今後はHP中心の活動になります。手に取れるかたちでのぷらぷらは今号でおしまいになるので、ぷらぷらを読みたい人も読みたくない人も、まあ、最後だとおもって、ぜひぜひお買い求めくださいね!

5号のテーマは、「親密さのかたち」。
2年前、たった二人で立ち上げたぷらぷらが、いろんな人を集め築いてきた親密さの集大成です。

174ページ
価格800円

(通販リンクはこちら→https://renazawa.booth.pm

 

 

【5号 内容紹介】

  • 小説・詩・批評
    水原涼・伊口すみえ・なめこ・宮崎智之・深沢レナの通常メンバーに、
    セクシーかつ鋭い批評を書かせれば右に出る者はいないしだゆい & エンタメ作家として大活躍中の雛倉さりえ、の新メンバーを加えた幅広い批評と創作がいっぱい。
  • ぷらぷら座談会「親密さのかたち」
    「あなたにとって最も親密な対象とはなんですか?」という質問からはじめて、「親密さのかたち」について、立場も所属も異なるぷらぷらメンバーが徹底的に話し合った座談会。
    葛藤がなければ親密じゃない? 身体ってひつよう? 元カノや元妻は親密? エスとBLって? いつからわたしたちは日常会話で政治について話しづらくなったんだろう?『月に吠えらんねえ』にみる文芸同人のあり方の変化、などなど、盛りだくさん。
  • 特別企画 離婚者のつどい with 桃山商事
    特別企画には、離婚経験者の深沢が、離婚仲間でありいまをときめくフリーライターの宮崎智之さんと、恋愛相談ユニット桃山商事の清田代表をお呼びし、結婚・離婚にまつわるありとあらゆる疑問についてぶつけたロング鼎談。
    なぜ人は離婚するのか? そもそもどうして結婚しなきゃいけないのか? 結婚という圧は必要なのか? 夫はATMなのか? なぜ『逃げ恥は流行ったのか? 思想の対立は避けられなのか? そして恋愛相談のプロ、清田代表にきく「聴く」男の秘訣とは?
    最後には、さまざまな家族のあり方を提示する文学を検証。
    とてもとても濃い、ぷらぷらならではの結婚考です。
  • 親密さブックス
    ぷらぷらメンバーみなが親密さを考える上でのマイフェイバリットブックを選びぬいたブックリスト! 役立つ!
  • ぷらぷら読書会
    ぷらぷら恒例、ちょっと笑えて、でもとことん真剣な読書会。今回の課題図書は、エトガル・ケレット、マルグリット・ユルスナール、ブライアン・エヴンソン、松田青子の精読! 批評のための文学とは? 文学におけるユーモア、など、深い問題についてディスカっしょってます。
  • タロット占い
    もちろん、ルナティック・サヤによるはちゃめちゃな占いもついてきます。

 

そしてそして今回はぷらぷら専属編集者として竹田純氏が大活躍し、かわいいかわいい編集スタッフ渡邊優太・松山綾花を新たに迎え、インデザインの神様こと福田正知氏が本気を出しました、デザイン面。ゆるいけどかっこよく、かわいくてクールです。

どうぞお楽しみに!

 

 

 

 

ぷらぷらとは?

*ゆるくてえぐい文芸同人誌「ぷらぷら」*

「プラトンとプランクトン」は、創作・批評を中心に扱いながら、文学に囚われずさまざまな企画を行う同人です。作家、詩人、大学院生、編集者、漫画研究者、占い師、フリーライター、クリエイターなど多種多様なメンバーから成る「プラトンとプランクトン」、略して「ぷらぷら」。この誌名は、「我々など偉大な先人に比べたらプランクトンのような小さな存在にすぎない」という限りなく否定的な思いに由来しますが、そんなプランクトンが大いなるプラトンに近づくべく、毎月〈ぷらぷら読書会〉や〈小説技術ゼミ〉といった勉強会を開催して、創作の技術を学んでいます。

*ぷらぷら企画*

ふだん文芸にあまり携わらない人でも楽しめるような文芸誌をつくるため、毎号ごとにテーマを立て、文学からは程遠いと思われるような企画も行っています。1号では墓場に写生文を書きにいき、2号では保護猫カフェにいって猫描写バトルを繰り広げ、4号では相席居酒屋でスケッチ文を書いてきました。

バックナンバー情報はこちら↓


ぷらぷら1号〜4号紹介

おしらせ

新刊情報 深沢レナ第一詩集『痛くないかもしれません。』(七月堂)刊行

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深沢レナ 第一詩集『痛くないかもしれません。』(七月堂)を9月に刊行いたしました。いえーい。略して『痛かも』。

 

 

詩をかきはじめた頃から1、2年間の、ほんとに初期の頃の作品をまとめました。一応「詩」とはいっていますが物語ありきの、詩なのか小説なのかあやふやな作品集になっています。「えぇ…現代詩ぃ…?」と気張らず、毎日の夕飯のお供にでもパスタの茹で時間にでも、気軽に楽しんでいただけたら嬉しいことこの上ないです。

装丁は『プラトンとプランクトン』でもタッグを組んでいる福田正知くん。
表紙の装丁はもちろん、紙質からフォントの幅までこだわり、ときに挑戦的なデザインは必見! え、うそ、そんなとこはみ出ちゃっていいの!? 的なドキドキ感まで楽しめます。

帯文を佐々木敦さん、伊藤比呂美さん、栞文を堀江敏幸さんに書いていただいています。虎の威というかもはやドラゴンの威まで借りちゃって火吹きまくっている感じですが、三者三様の素敵な文章の真ん中にちゃっかり立ってるお前、お前はそもそも誰やねん、と少しでも気になったら、ぜひお手にとっていただき、そして買う気が失せてしまわないうちに、なるべく早くレジカウンターまで持ってってください。どうぞよろしく!

 

 

〜帯より〜

通称レナ沢さんとは、教え子というより先輩後輩のような関係(もちろん向こうが先輩)なのだが、その一見野蛮とさえ思える放埓な態度の裏側に、華奢で可憐な、おそろしく傷つきやすい少女が隠れていることに、私はうすうす感づいていた。

本書を読んで、自分の勘は正しかったことが、よくわかった。

——佐々木敦

 

強くて弱い、弱くて強い。

レナがなぐりかかってくるから

読みながらなぐりかえしてやるのだ。

それなのにまた立ち上がってなぐりかかってくる。

弱いのに強い、強くて堅いそのこぶしが

そのこぶしが、痛くてたまらない。

——伊藤比呂美

 

れなざわレナ沢深沢レナはその傷つきやすい横腹の皮膚をみずからまとって、複数の自分を強烈な陽射しと鋭い爪を持つ海鳥たちにさらしていた。待った甲斐はあった。私はテーブル越しに、名前は呼ばないで、おずおずと旧仮名遣いの進言を試みた。どうでせう、まだ痛みはあるかもしれませんが、そろそろ観測用の係留気球をいくつか選んで圏外へ飛ばしてみては? 彼女は少しも表情を変えずに、痛くないかもしれません、とまっすぐに答えた。

——堀江敏幸(栞「係留気球を切り離す」より)

 

 

 

【取り扱い店】

・七月堂さんの店頭および公式通販
http://www.shichigatsudo.co.jp

・深沢レナ直売り通販
https://renazawa.booth.pm

・うさぎ洋品店&古書店さん
http://usagiyouhinten.ocnk.net

その他、amazon、池袋ジュンク堂、新宿紀伊国屋、吉祥寺百年、などなどいろんな店舗においてあります!

おしらせ

新刊情報 宮崎智之『あの人は、なぜあなたをモヤモヤさせるのか 完全版』(幻冬舎plus+)

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あの人は、なぜあなたをモヤモヤさせるのか 完全版 (幻冬舎plus+)

「プラトンとプランクトン」略してぷらぷらのお兄さん的存在、フリーライター宮崎智之さんの新刊が9月に出ました! わーお! 恋愛版、仕事版、悪女版などいろいろありましたが、全部読みたかったのでさっそくkindleで完全版を買って読んでみました。

宮崎さんの文章はとにかく誰にとってもわかりやすく、読みやすく書かれていて、まじめなんだけどユーモアにあふれ、ついついクスクス笑ってしまう。なんかモヤモヤさせられる、自分が理解できない異質な対象を、単に排除したりしようとするのではなくて、上から見下すのでもなく、正面からとことん冷静に見つめていて、そういう歩み寄ろうとする対峙の姿勢にはたくさん学ばされるところがあります。

「大雪でも定時に出社する人々」「駅のホームで抱き合い、海藻のように揺れているカップルについて」といった記事には、自分の他にも気になっているひとがいたんだなあ〜、と深く共感。「女子を悩ます「彼氏面男子」」や「サークルクラッシャー」には、ほんとにほんとにほんとにほんとにこういうやついる!!!と止めどない怒りが溢れ、「男はなぜ、女におごらなくてはいけないのか?」という問題にはちょっとだけ耳が痛くなる。ごめん。美容すらしていないが、でもおごってほしい。

「嫌いな上司からSNSで友達申請」だとか、「iPhoneから送信」署名のメールに対してイラつくというのには、世間から隠居しているわたしには縁がなかったのでびっくり。他にも仕事編の、「休憩時間にノンアルはあり?なし?」とか、「スーツ姿にリュックはありか」とか、「ビジネスでマスク着用は非常識か?」には、外の世界にはいろんな悩み事があるんだなー、と朝から酒を飲みながら感心しました。めんどくさいっすね。みんな会社やめちゃえ。

ときどき挟み込まれるエッセイ(「前歯がないブルース」「救急車に乗った僕はアゴが少し伸びていた」)はそのタイトルセンスもさることながら、中身も爆笑。宮崎さんのユーモアが自由に羽ばたいてかがやいてます。そんな笑いが絶えない中で、シリアスな「ライブチャットで服を脱ぐ東大卒の女性」や「子どもの泣き声にイラつく人こそ、マナー違反ではないか?」という記事には深く考えさせられ、なんだか悲しくなってしまった。

全体を通してキャッチーだけど、分析がするどく、多面的で深く、宮崎さんの普段のネーミング力はここからきてるんだなあと納得しました。最近だと、「告白ハラスメント」(告ハラ)が話題になっていたみたいで、炎上もしていたらしいけど、「告白=愛・青春!」みたいに思い込んでストーカーと化した連中の被害に悩む人や、告白されることだとか愛情を押し付けられるということが暴力以外のなにものでもない状況に悩む人も少なからずいて、そういうことを人に相談しても「自慢?」としか思ってもらえず、今まで声をもたなかった立場が、新しい「名付け」によって救われるのはとてもありがたい。……ことなんじゃないでしょうか? 言葉が強いので誤解を招き易い名前かもしれないけど、印象だけじゃなくて、その名前が生まれるにいたった経緯をみていったら、賛成派と反対派のやりとりがもっと有意義になるんじゃないかと思うし、そういう人を救う名前が生み出されていったらいいなと思います。

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「プラトンとプランクトン4号 特集:脱皮小説」では、宮崎さんの、吉田健一をめぐる紀行文「或る田舎町の魅力に導かれて」と、村田沙耶香の論考「複雑な現実を単純化する生き方」を掲載しています。

2017年11月刊行予定「プラトンとプランクトン5号 特集:親密さのかたち」では、吉田健一や中原中也に触れながら、宮崎さん的「親密さのかたち」論を展開している「世界に親しみを持つということ」という論考が読めます。

他にも5号では、フリーライター宮崎智之さんと、詩人(笑)深沢レナ、恋バナユニット桃山商事の清田代表との鼎談「離婚者のつどい」という激アツ企画も! 妊娠リミットから夫のATM問題、別居婚から『逃げ恥』まで、昨今の結婚・離婚事情を細かに解析。清田代表に訊く「聴く男」になるための秘訣。そして最後には「離婚文学ベスト10」もあり。離婚者率の高いぷらぷら独自の企画です。

今をきらめくフリーライターお二人のせきららな恋愛話を読んでときに泣きときに笑い、結婚したい人も、離婚したい人も、そもそも「結婚」ってものに意味を感じられない人も、ぜひ読んで結婚制度について一緒に考えましょう!

(文責 深沢レナ)